川からの眺め
書誌
| text | 唯野 |
| author | 野田知佑 |
| publisher | 新潮文庫 |
| year | 1995 |
| price | 360 |
| isbn | 10-141008-9 |
履歴
| 2002.11.6 | 読了 |
| 2002.11.9 | 公開 |
| 2002.11.9 | 修正 |
感想
多分、一度読んでいる本。私が読書ノートを文字通り大学ノートに付けていた頃のものを見返せば、読書ノートにしていてもおかしくない。そのくらい「どこかで読んだ」印象の強い内容だった。まあ、確かに野田知佑の本はどれを取っても書かれていることは割と共通しているともいえるが、暇だった学生時代に野田知佑の本を読み逃していた可能性は低いので上述の可能性が高いと思われる。しかし、それでも読むと心が落ち着くというか、やはり私の好きな文章を書く人だと思った。一方で、そんなことさえうろ覚えな自分の頭の程度も再認識した次第だったが。
抄録
19
親類の間でぼくの評判が悪いもう一つの理由は、彼らの息子たちがぼくと会うと、会社を辞めたり、親に反抗するようになるからである。
視野の狭い彼らが自分の子供に許す生き方、人生は二通りか三通りで、それ以外の人生は許さない。子供たちは当然不満を持って生きていて、時々、それが爆発する。親類の間では息子が不良(どまぐれ)になると、ぼくのせいにするのが決まりであった。
23
日本の川の場合、最大の破壊者は「建設省」である。治水、利水を名目とするダム、護岸工事が日本の津々浦々に及び、日本の川の土手は大半が白いコンクリートになってしまった。溜め息をついているわれわれの目の前で、さらにまたダムと護岸工事が続けられていく。それは本当に必要なのか。
建設省のねらいは「河川をいじることによってなるべく多額の予算を使うこと」にあるようだ。例えば最近流行している「三面張り」の護岸工事。これは川の両岸および川底までコンクリートで埋めていくやり方で、従来の工法よりずっと金がかかる。小さな川は U 字溝のようにびっしりとコンクリの壁で囲む。
25
これまでカヌーにいい外国の川をいくつか見てきた。「世界で一番いい川はどこか ?」とよくきかれる。答えはこうだ。
「日本の川が世界で一番美しく、面白い」
まず水がきれいである。川の周辺の景色が素晴らしい。四季それぞれの変化。一漕ぎごとに風景の変わる絶妙の自然美。それに水温が高いから一年の半分は水遊びができる。アメリカやニュージーランドで水晶のようにきれいな水の川があるが、水温が低いので泳げないことが多い。
といった日本の川の長所も「かつては」という過去の話だ。いま、日本の川は水が枯れ、汚れ、濁り、泳ぎたくなるような川は数えるくらいしかない。
35
われわれは「自由」にやりたいから戸外に出る。自由に生活したいから川原にテントを張る。安楽さや快適さを犠牲にしてまで不便なキャンプ生活をするのは「束縛」されたくないからだ。俗世間の決まり事や約束事、ルールに縛られたくないからだ。
せっかくの広い川原に箱庭のように作り上げた、色つきレンガを敷きつめた遊園地の中でキャンプするのは嫌だ。
50
大人が思っている以上に子供はたくましく、しっかりしている。もし彼らを放っておけば。
何もかも自分でやるようになると、子供でも判断力がつく。状況を読んでその時々の一番適切な行動をとる能力がつくのである。
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