ホーム > 読んだ > 国内

純米酒を極める

書誌

text唯野
author上原浩
publisher光文社新書
year2002
price750+tax
isbn4-334-03178-1

目次

1感想
2抄録
3

履歴

?読了
2010.5.16公開

感想

『夏子の酒』にも上田久鑑定官として登場している人の本で巻末には用語集まで備えるなど、今の日本酒を取り巻く状況から飲み方まで含め、広い範囲の話題がよくまとまっている。確かに割と辛口の物言いも多いが、納得できるだけの根拠も合わせて述べられておりなかなかためになった。いかにも新書として好適な本だと思う。

抄録

9

酒は純米、燗ならなお良し――。

人に酒について聞かれれば、私はいつもそう話してきた。

春だろうが夏だろうが、私は純米酒に割り水をかけて、ぬる燗にして飲む。こうして飲めば口当たりが柔らかくなり、ふんわりとした旨味が広がり、酒に合う料理の幅もうんと広がる。燗酒は胃壁からの吸収が早く、心地よく酔っていくから、飲み過ぎることも少ない。

11

精米歩合など酒造の一要素に過ぎず、それに見合ったつくりができて初めて米を白く搗(つ)く価値があるのだが、蔵の経営者のなかには糠を多く出せば自動的に良い酒ができると勘違いしている者が多くいる。米を白く搗けば雑味のもとになる成分が減り、きれいな酒が出来上がるというのはウソではないが、同時に白く搗くほどつくりは難しくなる。よほど腕に自信のある酒造家でない限り、精米歩合40%以下の世界で差を出すのは至難の業だ。-/-

やたらと香りの強い酒や米を必要以上に白く搗いた酒が、良い酒であるかのような誤解が生じた背景には、全国新酒鑑評会の影響が少なからずある(功罪の罪の部分である)と私は思うが、この鑑評会が結果的にもたらしてしまった悪影響が、他にもある。多くの酒造家が春先に完成された酒になることを目指して酒造計画を立てるようになったことだ。

日本酒というのは、秋の完成を目指してつくるのが本当だ。

13

私に言わせれば、生酒など製品以前の半製品である。

13-14

日本酒は温度を変えることによって味わいが変わる稀有の酒だ。

ところが昨今、その常識が忘れられがちになっている。燗をせず、仕方も知らず、生酒のような酒を冷やで飲ませるのがサービスだと思い込んでいる飲食店が増えたのは、明らかに経営者の怠慢なのだが、秋上がりしない、したがって燗にしても映えない酒が多いのも残念ながら本当だ。-/-燗映えしない酒が多い理由を突き詰めていくと、アル添に行き当たる。アル添するということは、醪(もろみ)の発酵を途中で止めて、醸造用アルコールで薄めるということだから、純米酒に比べて、どうしても酒が弱くなる。さらに、全部が全部そうだとは言わないが、アル添した酒を燗にすると、冷やなら感じられなかった醸造用アルコールの臭いが浮いてくることもあり、はなはだ具合が悪い。

18

清酒の製造過程。

全文を読まれる場合はログインしてください


Up