日本の刑事裁判
冤罪・死刑・陪審
書誌
| text | 唯野 |
| author | 伊佐千尋, 渡部保夫 |
| publisher | 中公文庫 |
| year | 1996 |
| price | 1,000 |
| isbn | 12-202669-5 |
履歴
| 2001.8.8 | 読了 |
| 2001.12.17 | 公開 |
| 2002.11.28 | 修正 |
感想
日本の司法制度の抱える問題点全般を対談というかたちで論じた本。全体的に冤罪を中心としている感はあるが、対談ゆえの読みやすさは門外漢にとってはありがたい。個人的には特に代用監獄と陪審制の部分を興味深く読んだ。陪審制の箇所などを読むと、司法制度もやはり専門家だけのものにするのではなく、市民に対して開かれる必要のある分野なのだということがよく分かる。政治の世界だけに留まらないオープン性の求められるべき場所はまだまだあるということだろう。
# 元々は『諸君』に連載された記事を単行本化したということのようです。
抄録
19
伊佐 -/-憲法には黙秘権も弁護人依頼権というのも保証されてるんですが、日本では絵に描いた餅でしかない。警察の体質が江戸時代、明治時代とあまり変わっておらず、黙秘権や弁護人依頼権は実質的に保証されていない。-/- cf.37
21-22
渡部 英米では逮捕前に相当慎重に物証や状況証拠を集めます。というのは、英米では、警察が被疑者を逮捕した後は比較的短時間内に、例えば十二時間とか二十四時間とか九十六時間くらいしか被疑者の身柄を拘束して警察におけないために、日本のように朝から晩まで何日間も取調べて自白させるということができない構造になっているからです。だから逮捕前の任意捜査を十分にやるようになります。
24
伊佐 「代用監獄」が虚偽自白の病巣、製造元ですね。警察署の半地下室のような所に入れておく。そして、そこから取調室に引っ張り出して朝から晩まで自白を迫る。
25
伊佐 -/-私が問題だと思うのは、争っていて、被告・弁護側が証人の捜査段階での供述調書には不同意だと述べているにもかかわらず、最終的には捜査官の作成した証拠がそのまま公判廷へまかり通るということです。これでは戦前の調書裁判となんら変わらない。-/- cf.425
33-34
渡部 ただし、捜査官は決して暴力は行使しないそうです。ただ、おまえは犯人だと決めつけて、毎日何時間も延々と、「価値観」とか、「人間とは何だ」とか「罪を認めない人間は次元の低い人間だ」「人間的に高くなりなさい」とか、シャバにいて聞いていると実にくだらんと思われることを、とにかく繰り返し繰り返し言うそうです。そして自白を迫る。それからまた警察官同士の間でひそひそと私語をするそうです。ほかの被疑者はこういうふうに自白してる、なんということをね。
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