JAMJAM 日記
書誌
| text | 唯野 |
| author | 殿山泰司 |
| publisher | ちくま文庫 |
| year | 1996 |
| price | 620 |
| isbn | 480-03155-3 |
履歴
| 1997-98 | 読了 |
| 1998.11.8 | 公開 |
| 1999.10.30 | 修正 |
感想
『三文役者あなあきい伝』の著者、殿山泰司のとてもとてもおもしろい本である。独特の殿山節ともいえる自由奔放でありながらどこか憎めない文章をここでも堪能することができる。
抄録
11
-/-しかしオレは途中下車で放り出してあった本を、いつの日にか引っぱり出して読み、こんな面白いものをなんでもっと早く読まなかったのかと、くやしいクヤシイとダブルの後悔をすることもしばしばである。読書というものは難しいもんだ。この難しさも読書の妙味であろうか。余計なことを心配するなッてんだ。一番いいことは本なんか読まねえことだぜ。
全く、その通り !!
83
-/-電気館跡のロック・スクエアというのは、キレイすぎてオレはがっかりした。敗戦直後の闇市みたいに汚くゴチャゴチャすべきではなかったのか。こんな広場ならニッポン全国どこにでもある。同じようなものばかり作るなッてんだ。バカヤロ!!-/-
121
-/-フーン自衛隊ね。オレは自衛隊なんか不要だと考えている人間のヒトリだけどね。兵器を持つことはタンカンにいえば戦争放棄とつながらないよ。その国に住む人間が、その国が守るに値する国だと信じれば、武器なんかなくても守れるものだとオレは信じてるんだけどね。ちがいますかね ? 国家なんかどうでもいいと思っているのに、こんな発言をするのはオカシイな、ヒヒヒヒ。
190
-/-きのう偶然にオレが大学ノートに書いてあった昭和30年の日記を見たら、インフレや物価高のことをフンガイして書いてありました。フンガイしたのは若かったからであります。今はフンガイなんかしておりません。そのかわり殺したいと思う奴がヤマほどおります。あの頃はヒトを殺したいなどとはツユほども思いませんでした。正直にモノをいってはイケナイこともよく知っております。クククク!! それにしても資本主義社会というもんはチイとも変わらんもんやね、オメデトウ!!
234 山下洋輔の解説より
しかし、この殿山文体を下手に真似すると、それこそ、手前の低脳極悪馬鹿頭があっという間にバクロされるということに人は気づかねばならない。これは、天才ジャズプレイヤーの吹くフレーズと同じであって、他人が真似したら、人にはすぐ分かる。元のものの偉大さが目立つだけのコピーとなるのであり、皆に馬鹿にされるに違いないのだ。なぜかそのことがおれにはちゃんと分かったから、これはヤバい、これを真似してはいけないという自覚がたちまち生じた。これぞジャズマンの自営本能だったのよミナサン!! バカ!! お前真似してるやないか。そうでしたスミマセン、キャンキャン。
実は私もこう思っていた。この殿山節は簡単なように見えて非常に難しい。単に下衆なだけの文章であれば私にも書けるだろうが、そのように見えながらも読者に笑みをもたらしてしまうような文体となると、これは実に至難のことだろう。
