いやな時代こそ想像力を
書誌
| text | 唯野 |
| author | 佐高信, 高村薫 |
| publisher | 岩波ブックレット |
| year | 2000 |
| price | 440+tax |
| isbn | 4-0-009204-9 |
履歴
| 2009.3.9 | 読了 |
| 2009.3.30 | 公開 |
| 2009.3 | 修正 |
感想
久しぶりに岩波ブックレットを読んだが、相変わらず薄いので読みやすいというのはいいことだと思う。本書は佐高信と高村薫の対談集で、特筆に値するほどの目新しさはないが、前述した読みやすさということを考えると、広くすすめてよい一冊ではないかと思う。
本業があくまでも小説家ということもあってか、どちらかというと高村薫が聞き役っぽい感じになっている。とはいえ、たいてい、対談集というものは一方が語り役、一方が聞き役という展開になることが多いので、これもある種の必然かもしれない。高村薫も最近はこういった評論寄りの著作が多い感じを受けるが、ぜひとも小説も書いてほしいものである。
抄録
3
佐高 -/-そうすると、自分の中でかなり無理しているんですね。合わない生徒に対しても差別しちゃいかんと。教師をやめたらその好き嫌いが言えるという意味ではものすごく開放感があったんです。
4-6
高村 先日、人材育成コンサルタントの辛淑玉さんが日の丸・君が代法制化反対の集会で、「日の丸・君が代に反対する先生方には、同じように「仰げば尊し」もやめろといってほしい」といったんです。これにはわたしも虚を衝かれて、その通りだなと思いました。日の丸・君が代の反対と、「仰げば尊し」を平気で生徒に歌わせるおかしさがつながっていなくて、日の丸・君が代の反対も、先生がどこか上から教えるような話になってしまっている。
7 cf.16
佐高 住井すゑさんの著作を読んで、自分の教師時代もふり返って反省させられたのは、彼女は教育勅語と水平社宣言をいっしょに教えろと書いているんです。「朕惟フニ我カ皇祖皇宗」をいわば水平社宣言で読み破るような教育をしなきゃだめじゃないか、と。そのうえで教育勅語のほうがいいという生徒が出たらそれはそれでしょうがない。教育勅語はだめだ、水平社宣言だ、といって片方ばかり教えるのでは、やっぱりもろいと思うんです。
高村 それ以前に、わたくしたちが子どもの時代に、たとえば教育勅語というものがあったと歴史的には習いますが、そのときに、では、教育勅語とは何か、あるいは水平社宣言とは何か、それらをなぜ習うかという一番大きなところが欠けているんです。-/-
8
佐高 -/-日本民族というのはほとんど単一民族だという説が三島由紀夫以来優勢ですよね。ところが、じつは戦争中は(五族協和という理念により:唯野注)日本民族は複合民族だといっていた人が多かった。-/-
10
佐高 -/-戦後がもし浮薄だとしたら、それは戦前の浮薄でないものの反動として生まれたのではなく、戦前の浮薄を引きずったものだと思うんです。よく企業経営者が、自分は本当に無責任なことをやっていながら、「戦後教育はなっていない」などというから、わたしは、じゃあ、あなたの受けた戦前教育は、どんな責任のある人間を生み出しているんだといってきた。-/-
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