Hacker 不是 Cracker
―ハッカーはクラッカーじゃない―
書誌
| text | 唯野 |
| author | 電脳雑技団 |
| publisher | 共立出版 |
| year | 『bit 1997.2』p.13-19 |
履歴
| 2001.7.16 | 読了 |
| 2001.7.17 | 公開 |
| 2001.7.18 | 修正 |
| 2010.2.28 | 修正 |
感想
今更という感がないわけでもないが、雑誌記事を整理していたら、こんなものが出てきた。コンピュータの世界にあって最も誤解されている言葉のひとつが「ハッカー」といってよいだろうが、読み返してみてもなかなか手際よくまとめられているので要約しておく。
抄録
ハッカーの定義においてまず参照せねばならないといえるのが「The New Hacker's Dictionary」である。(これのオンライン版が「Jargon File」となる。邦訳は『ハッカーズ大辞典』。)また、RFC1983 にもハッカーの定義がある。以下にそれぞれでの定義を引用する。
hacker [もともとは、斧で家具を作成する人] n. 1. プログラム可能なシステムの細かい部分を探ったり、その機能を拡張する方法を探究したりするのに喜びを感じる人。必要最小限のことしか勉強したがらない大半のユーザとは対象的(ママ)。2. 熱中して(さらには取りつかれたように)プログラミングする人、またはプログラミングを単に理論化するのではなく、プログラミングを楽しむ人 3. ハック価値(hack value)を評価できる人 4. 手速くプログラミングするのが得意な人 5. ある特定のプログラムのエキスパート、または頻繁にそれを使って仕事をする人。たとえば 'a UNIX hacker'「UNIX ハッカー」(語義 1-5 は相互に関連しており、これらにあてはまる人は集団をなす) 6. あらゆる種類のエキスパートまたは熱狂的なファン。たとえば天文ハッカーなどと言う 7. 創意工夫を発揮して制約を打破したり回避したりするという知的な難問を楽しむ人 8.[誤用] あちらこちら調べ回って機密情報を探り出そうとする悪意の詮索好き。このことからパスワードハッカー(password hacker)、ネットワークハッカー(network hacker)などと言われる。正しい用語はクラッカー(cracker)。
ハッカー 特にシステム、コンピュータ、コンピュータネットワークの内部動作を熟知しようと努めることに喜びを見つける者。この言葉は、正しくはクラッカーと呼ばなければならない部分において、しばしば蔑視的意味を含んだ形で誤用される。クラッカーを参照のこと。(部分 : 唯野注)
これらの誤用は何も日本だけのことではなくアメリカでも同様で、Time 誌、CNN、ウォールストリート・ジャーナル紙でもそうだとのこと。当然ながら(?)、FSF のリチャード・ストールマンは抗議文を送っている。「ハッカー」の誤用に対しては「ハッカーは用語であり RFC によって定義された標準化参照ドキュメントにも記載されている言葉である」といえばよい。
しかし、ハッカーを取り巻く環境としては日本よりもアメリカの方がよい。米国のハッカーの方が優遇され尊敬もされ、そこそこの収入もあるのに対し、日本だと若いハッカーは安月給で使いつぶされるのがオチである。しかし、日本の環境では独創性は単なるつまはじきとなりやすいため、そもそもの文化面で既に開きがある。また、それが日本のソフトウェア分野におけるジリ貧的状況を生んでいるともいえる。
コンピュータを使うこととハッカー文化を理解することとは全くの別概念であるが、最近ではそういった風潮に抗議してソフトウェア使用条件のひとつに「ハッカーをクラッカーの意味で使う者及びクラッカーであるにも関わらずハッカーを僭称する者の利用を認めない」を含めるものがある。(NCSA Mosaic や PGP など。)
一方、これとは別に「ハッカーなどはるかに及ばないレベルの低い連中であるが、自分がハッカーと呼ばれ注目を浴びたいと思っている」ワナビー(wannabee)というのがある。そして、マスコミとワナビーが結びついたときに誤用が起こる。
