2ちゃんねる宣言
挑発するメディア
書誌
| text | 唯野 |
| author | 井上トシユキ |
| publisher | 文春文庫PLUS |
| year | 2003 |
| price | 590+tax |
| isbn | 4-16-765686-8 |
履歴
| 2004.2.20 | 読了 |
| 2010.7.1 | 公開 |
| 2010.7.4 | 修正 |
感想
2chも今では落ち着いたというか、一時ほど騒がれなくなった。今時のネットでのコミュニケーションといえば、Twitter とかニコ動、SNS といった辺りであろうか。むしろ今の 2ch ユーザには新しい人よりも古い人が惰性で使っているという感じもしないではない。
本書は全般的に2chに対しても肯定的であり、これは私も概ね同感である。筑紫哲也が「便所の落書き」といったときには「さすがにこの人も老いたか」と思ったものだが、それも一昔前の話になってしまった。完全匿名性を維持できていれば、また違った流れにもなっただろうとは思うが、こればかりは何ともいえない。ただ、現在のマスメディアの凋落において背後で果した役割は非常に大きかったのではないかと私は思う。
抄録
12 cf.16
つまり、ユーザーは新商品のスペック表や、一見しただけでは何が目新しいのかよくわからない企業からのプレスリリースを受け取るためではなく、あるいは巧妙な仕掛けに乗って個人情報を抜かれるためでもなく、まさに(広義であれ、狭義であれ)コミュニケーション手段としてインターネットを利用しようとしているのである。
だが、その一方で「2ちゃんねる」は、さる有名なニュース番組の司会者が、?便所の落書き?と烙印を押した類の、インターネット上にある悪辣なサイトの代名詞として扱われている。-/-
18 cf.33-34
では、どうやって「2ちゃんねる」は、いまのスケールにまで成長していったのだろう ?
その大きな理由を、「2ちゃんねる」の、
匿名/実名を自分で選ぶことができる どのような情報も並列に扱われる という特性に求めるのが、一つの定説である。
レベルの高い議論をしているスレッドもあるし、本名/匿名の使い分けができるということ。
22-24 cf.46-47
実は、このマルチスレッド・フローティング方式という掲示板システムを採用したのは、「2ちゃんねる」がはじめてではない。元々、この方式を編み出したのは、「2ちゃんねる」以前に隆盛を誇っていた「あめぞう」掲示板である。-/-
「2ちゃんねる」が認知度を高め、多くのユーザーが訪れるきっかけとなったのは、開設早々に起きた「東芝クレーマー事件」であったとされる。この事件の発端は、一九九九年六月某日にAkkyと名乗る人物が「東芝のアフターサービスについて」という告発ページを開設したことからである。ざっと概要を振り返ってみると、Akkyと名乗る人物は、自身が購入した東芝製ビデオデッキに不具合があったためクレームをつけたのだが、その際の東芝側の対応が常識はずれにひどいものだったとし、そのやりとりの一部始終を録音したものをウェブページ上で公開したところ、大きな反響を呼んだというもの。後に、この人物が名うてのクレーマーだったと判明し、賛否入り乱れて喧々囂々(けんけんごうごう)の議論が百出したが、その場所として「2ちゃんねる」が大いに利用されたのだ。
31
こうしたことを、本業であるマーケッターの目から見ると、視聴率そのものよりも貴重な、ユーザーからの生の意見の集合だと萩原は言う。
41 cf.42/49-51
しかし、こうしたことも、はじめは同調する人物が出てきても、時を経ずして終息に向かっていく。騙られた本人や周囲が巧妙にやり返すことで、名乗っている本人ではないとバレて逆に一斉に叩かれたりということもあるが、なによりも、コミュニティの参加者たちは乗るのも早いが、飽きるのもまた早い。
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