モモ
時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語
書誌
| text | 唯野 |
| author | ミヒャエル・エンデ |
| editor | 大島かおり(訳) |
| publisher | 岩波書店 |
| year | 1996 |
| price | 2,800 |
| isbn | 0-092043-X |
履歴
| 2001.11.4 | 読了 |
| 2002.1.25 | 公開 |
| 2002.1.25 | 修正 |
感想
エンデの代表作のひとつ。恐らく、知名度だけなら一番かもしれない。解説でも触れられているように、この作品は特に日本で好評を博したそうだから、逆にいえばそれだけ日本社会が時間節約社会になっている――とも取れるだろう。物語の持つ寓意性からいっても、今の自分の生活を省みてみても、考えさせられることしきりである。
主要登場人物
モモ 主人公の女の子
ベッポ 道路掃除夫のおじいさん。モモの親友。モモの身をいつも案じている
ジジ 若者。モモの親友。大金持ちの有名人になるが...
灰色の男たち 時間貯蓄銀行の男たち、正体を隠し葉巻から補給される時間で生きる
カシオペイア 甲羅に文字の浮かぶマイスター・ホラのカメ
マイスター・ホラ 人々に時間を配っている老人、さかさま小路の先に住む
抄録
16
小さなモモにできたこと、それはほかでもありません。あいての話を聞くことでした。なあんだ、そんなこと、とみなさんは言うでしょうね。話を聞くなんて、だれにだってできるじゃないかって。
でもそれはまちがいです。ほんとうに聞くことのできる人は、めったにいないものです。そしてこの点でモモは、それこそほかには例のないすばらしい才能をもっていたのです。cf.25、45
77
とてもとてもふしぎな、それでいてきわめて日常的なひとつの秘密があります。すべての人間はそれにかかわりあい、それをよく知っていますが、そのことを考えてみる人はほとんどいません。たいていの人はその分けまえをもらうだけであって、それをいっこうにふしぎとも思わないのです。この秘密とは――それは時間です。
98
だから(時間貯蓄家たちは遊びさえがせわしないから:唯野注)もうたのしいお祭りであれ、厳粛な祭典であれ、ほんとうのお祭りはできなくなりました。夢を見るなど、ほとんど犯罪もどうぜんです。けれど彼らがいちばん耐えがたく思うようになったのは、しずけさでした。彼らは自分たちの生活がほんとうはどうなってしまったのかを心のどこかで感じとっていましたから、しずかになると不安でたまらないのです。ですから、しずけさがやって来そうになると、そうぞうしい音をたてます。けれどもちろんそれは子どもの遊び場のようなたのしげなさわぎではなく、気ちがいじみた、ふゆかいな騒音です。この騒音は日ごとにはげしくなって、大都会にあふれるようになりました。cf.97
100
けれど、時間とはすなわち生活なのです。そして生活とは、人間の心の中にあるものなのです。
人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそって、なくなってしまうのです。
170
「子どもというのは、われわれの天敵だ。子どもさえいなければ、人間どもはとうにわれわれの手中に完全に落ちているはずだ。子どもに時間を節約させるのは、ほかの人間の場合よりはるかにむずかしい。-/- cf.136、225
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