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快読 100 万語 ! ペーパーブックへの道
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酒井邦英 ちくま学芸文庫/2002/\1,000+tax 480-08704-4 |
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SSS (英語学習法研究会) の主宰者による本。もともと、英語の学習はしたいが、だからといって今さら受験英語のようなことはやりたくないし時間もないと思っていたところ、たまたま本屋で見つけたので買ってきた本である。一読してみて、本書でいうところの「簡単なものから辞書などを使わずに行う多読」がどの程度信頼できるのかは自分でも試したわけではないので何ともいえないが、ただこれに近いかたちでしばらくやってみようとは思った。
その一番の理由は、私自身が本おたくであり確かに英語と思うと距離を置きがちだが、読書としてみれば普段からそれこそよくやっているわけであるから、それを簡単なものからやる分には確かにやれそうだと思ったこと。また、電車の中などで読めば、嫌でも辞書などは持ち込めないので、本書の趣旨にも自ずから合致すると考えたところによる。実は 『くまのプーさん』 を読んだのも、読書ノートにする順序が前後しているだけで、本書の影響によるものである。
というわけで実際にどの程度の効果があるのかは追って報告したい。実際に成果といえるものがあるのかどうかにかかわらずそうしたいと思う。ただ、個人的には方法論よりも要は「やるかやらないか」だとも思っているので、別にこの方法が唯一最高だなどというつもりはない。私にとってたまたま相性がよさそうであり、そういうきっかけになったという事実の方が重要だと思っている。
なんでこんなにやさしい、子どもっぽい本からはじめるのかと思うことでしょう。それは仕方ないのです。学校英語は辞書を使い、文法解析をして、短い文章に大変な時間をかけます。そんなのろのろした速度ではペーパーブックを楽しむというわけにはいきません。快適な速度で読むには、学校英語の読み方とはちがう、本来の読書を習いなおさなければならないのです。それは別に新奇なことではなく、ただ日本語の本を読むのとおなじように読むだけのことです。ところが英語を読む段になると学校英語が足かせになって、とたんに「普通の読み方」ができなくなってしまいます。
頭のなかの足かせから自由になるためには、辞書と文法を使って読める英文よりもはるかにやさしい本からはじめます。cf.55
英会話学校で身につく最も大きなものは、いま持っている英語の知識を駆使して、いかに図々しく話せるようになるかという「度胸」でしょう。
英会話学校に通っても英語力がつくわけではない理由は単純です。英語の吸収量が少ないからです。cf.186
100 万語は 300 ページほどのペーパーブックで 10 冊にあたります。100 万語読んだらもう英語の学習は終わり、というわけではありません。いままでの指導経験から判断すると、もちろん個人差はありますが、だいたい 100 万語くらい読むと、指導はいらなくなると思われます。
本書では学習のレベルを赤、橙、黄、緑、青とし、更に赤をピンク、赤(初級)、赤(上級)とに分けている。ピンクレベルは 1 ページに 1 文章、数語という本になる。
特に Oxford Bookworms Factfiles シリーズはこのレベルでは貴重なノンフィクションである。また、下の 2 シリーズが初心者にとってはひとつの壁。但し、それに固執する必要はなく、読みたくない本はどんどん途中でやめてよい。
中学 3 年間で習う語数が約 1000 語なので、中学卒業レベルに相当する。日常生活や海外旅行、E-Mail を書くレベルならばこれでも十分といってよい。また、これ以下のレベルのものを織り交ぜて並行して読んでみるのもよい。cf.104
ここまで来ると一般のペーパーブックスでもかなり種類は増えてくる。英語圏での小学校中学年、8-9 歳レベルとなる。ジュニア小説、パフィン文庫、ロアルド・ダールの本など。
実際に使ってみると、graded readers はたとえば日本人が英語を獲得するには必須と言えるほど利点のあるものだと思います。そして多読授業をおこなっている「ネイティブ・スピーカー」と呼ばれる先生の中には、graded readers は language learner's literature と呼ぶべきだという人がいるくらい、質の高いものがあるのです。-/- (p179-180)
ここまで来ると普通のペーパーブックスでも読める本がたくさんある。ロアルド・ダールはもちろん、ジョージ・オーウェル、シドニー・シェルダン、ハリー・ポッターなど。
| 語数 | シリーズ名 | レベル名 |
|---|---|---|
| 200 | Penguin Readers | EasyStarts |
| 250 | Oxford Bookworms | Starters |
| 300 | Heinemann Guided Readers | STARTER |
| 300 | Penguin Readers | Level 1 |
| 400 | Cambridge English Readers | Level 1 |
| 400 | Oxford Bookworms | Stage 1 |
| 600 | Heinemann Guided Readers | Beginer |
| 600 | Penguin Readers | Level 2 |
| 700 | Oxford Bookworms | Stage 2 |
| 800 | Cambridge English Readers | Level 2 |
| 1000 | Oxford Bookworms | Stage 3 |
| 1100 | Heinemann Guided Readers | Elementary |
| 1200 | Penguin Readers | Level 3 |
| 1300 | Cambridge English Readers | Level 3 |
| 1400 | Oxford Bookworms | Stage 4 |
| 1600 | Heinemann Guided Readers | Intermediate |
| 1700 | Penguin Readers | Level 4 |
| 1800 | Oxford Bookworms | Stage 5 |
| 1900 | Cambridge English Readers | Level 4 |
| 2200 | Heinemann Guided Readers | UPPER |
| 2300 | Penguin Readers | Level 5 |
| 2500 | Oxford Bookworms | Stage 6 |
| 2800 | Cambridge English Readers | Level 5 |
| 3000 | Penguin Readers | Level 6 |
| 3800 | Cambridge English Readers | Level 6 |
やさしすぎるくらいの本を読むもう一つの利点は、「かたまり読み」の練習ができることです。
-/-いちばん大事なことは二つしかありません。
- わからないところは飛ばす。cf.110
- 話がわからなくなったらすぐやめて次の本に移る。
そして第 1 点を実行するために、次の 3 点を守ってください。
- 辞書を引かない
- 文法を考えない
- 和訳しない
即ち「いい加減に読む」ということ。cf.63
子ども向けの名作を読むには、3000 語知っていれば十分です。たとえば『不思議の国のアリス』は 2900 語ほどが使われており、『オズの魔法使い』は 3200 語ほど使われています。基本的な 3000 語を知っていれば、こうした本には知らない語はほとんど出てこないと言えるでしょう。
基本 3000 語はあらゆる書き言葉の 90% を占めている大切な語彙ですが、いちばん基本的な 1000 語は 80% もの貢献度があります。ところが 4000 語から 5000 語までの 1000 語はたった 1% の貢献度しかありません。基本語がどんなに大切か、よく分かると思います。
それに対して、ぼくがこの本で言おうとしていることは「英語力 = 英語量」に尽きます。英語力は触れた(理解できた)英文量だけの関数であって、それ以外のことには無関係なのです。暗記も音読も公式も単語帳も文法も、量の獲得を邪魔するようなら、やらない方がいいでしょう。
シャドーイングによるカタカナ英語のすすぎ洗いと英語の音の獲得。方法は朗読をそのまま影(シャドー)のように声に出してついていけばよい。
この学習法が指導者なしでできるかどうかについては「できるが条件がある」となる。ほとんど指導なしにペーパーブックを読めるようになるのは 100 人に 1 人の割合で、それは頭のよさというよりも資質の問題(いい加減さがあるか否か)による。
学校の先生ならば自分自身が多読の効果を確かめること、また必要な書籍を揃えることが必要となる。著者は自分がこれまでに試みた中では多読以外では大きな効果を上げておらず、それゆえ評価も出席だけで読むものは好きなものを選ぶようにさせたとのこと。
一読してわからない文はすべて和訳せずにいられない人の場合、特別な配慮が必要です。なんとかして、いままでの英語に対する姿勢を変えてもらわなければなりません。cf.180/247
TOEIC には二つの疑問があります。一つは概して聴解の点数が読解の点数より高いこと、もう一つは TOEIC の得点が「使える英語」の指標にかならずしもなっていないことです。
TOEIC 熱が引き起こした最大の問題は、いままではほとんどの人にとって大学受験で終わっていた「試験勉強」を、社会人にまで広げてしまったことです。
単語力増強のための単語集は下策なので、シャドーイングで音と綴り、訳文までをセットにして繰り返すのがよい。もちろん、理想は本を読んで自然に語彙力を増やすことだが、それだけの時間に余裕がない場合は、ニュース英語、特にインターネットを利用するのがよい。TIME、Newsweek を日本語で得た背景を元に読んでみるのが有効である。一方、シャドーイングに慣れていない人は Voice of America が手頃である。また、文法も書き言葉の運用規則と捉えると、外国語として英語を学ぶ人のための文法書、例えば『Intermediate English Grammar in Use』などがある。
シャドーイングがうまくできない原因はいろいろありますが、最大の原因は日本語の癖を英語の音に持ちこむことです。日本語の癖の中でいちばんシャドーイングの邪魔をするのは「子音のあとに母音をつける」癖です。そしてもう一つは、音節の強弱によって、消えてしまう音や音節があることです。cf.214
そこで、どんなに奇妙に聞こえようとも、聞こえたままに繰り返さなければならないことになります。日本語の音で代わりをさせることはあきらめてください。
別の言い方をすれば、シャドーイングは赤ん坊が母語を獲得していくときの過程をまねしようとしていると言えるでしょう。
英語では子音がいかに強く、また母音から独立しているかをよく示しているのが、頭韻という「癖」です。病気と言ってもいいでしょう。日本語の病気は七五調で、言葉がちょっとでも言葉自体を意識すると、すぐ七五調が顔を出します。標語を作れ、なんて言われると、七五調になりますね。あれとおなじで、英語が言葉の響きのよさを意識すると頭韻に走るのです。
アメリカノ社会的成功者が単語をたくさん知っているのは、おそらく本をたくさん読んだからではないでしょうか ? 本を読んだ副産物として単語をたくさん知ることになったと考えていいのではないか ? だとすれば、たくさんの語を知るにはたくさんの本を読むべきだということになります。
では、大量の英語に触れるとどんな理解に達するのか ? 英和辞典に書いてない、どんなことがわかってくるのか ? -/- ぼくが発見した「言葉の本質は単語ではなく、文である」を敷衍すると、学習法としても「言葉の獲得は文から」がまっとうな道のはずです。
これらは今までほとんど区別されて来なかった。
graded readers に欠けているものとして専門語とイディオムがある。しかし、これらも基本語(1000 語)の知識の上に成り立つものである。
本書の多読では辞書はタブーになっているが、いい加減読みが身に付いた後なのであれば、自分がどうしても必要だと判断した語に関しては辞書を引いてもよい。
ことばはいつも必要な順に出てきます。それを英文和訳によってひっくり返すと、たちどころに話がつながらなくなります。-/-
「主節・従属節」の代わりにもっと新しい文法(たとえばコミュニカティブ文法)で言う「既知情報・新情報」という考え方を参考にすると、語順通りに理解することの大切さ、逆に言えば「学校英語の迷信」が、明らかになってきます。
これは文は既知の情報と新情報から成り立っているのだということに着目したもの。つまり、長く見える文も、短く見える文も、小さな「意味のかたまり」からできており、文が長くなっても意味のかたまりが長くなるわけではないのだということ。cf.266/267
いわゆる 5 文型はこの「場合分け」をふやすことに貢献しているという意味で、英文の理解を混乱させている張本人と言えるでしょう。5 文型という考え方を使う場合は、まず英文を最後まで見て、それから各部のつながりを考えていきます。これが 5 文型のいちばん悪いところで、5 文型を意識すると、英文を頭から語順通りに理解することができなくなります。
これには少し異議がある。というのも私が『ビジュアル英文解釈』を読んだときには、上述されている通り、英語をあるかたまりとして区切るための道具として SVOC の切れ目というものを極めて理詰めでやっていた。もちろん、英文は頭から読むべきもので、前方に戻るものではないという理解の元にである。私の場合は、まさしくこの本によってそれまでの英語の呪縛を脱した本であるし、そういう意味での文法力は意義のあるものだと思っている。
the を「その」と訳すのはもちろんあやまりです。というよりも、日本語には the にあたる言葉はないのです。ではなぜ the よりもはるかに出現頻度の低い「その」になぞらえられたり、「訳さなくていい」ことになったり、不当な扱いを受けてきたのか ?
the には「意味」はありません。役割があるだけです。そしてその役割は名詞につけた「荷札」のようなものです。お届け物に「割れもの注意 !」という札が付いているように、the は情報の送り手から受け手に「この the のついた名詞はあなたがさせるものですよ」と伝えているのです。cf.277
その指すものとして前方参照(既に出てきた何か)、垂直参照(状況や常識から指される何か)、後方参照(すぐに「知ることになる」何か)が挙げられている。一方、不定冠詞である a の場合は「指すことのできない何か」ということになる。つまり、他にも同種のものがあるという意味を持つことになる。更に and というのは「必要なものは数え上げた、次で終わり」というのが本質的な意味なのだという指摘。また、同じ形のものを並べているのだということ。英語の文章でも the、a、and は特に頻出の単語であるから、これらの本来の意味をきちんと理解できるだけでも効果は大きい。(他では時制なども取り上げられている。)cf.272-273/278-279/281/285
映画の総語数は、1 時間半の映画でおよそ 1 万語くらいです。1 分間 200 語で読める人は、1 時間半に 2 万語近く読むことになりますから、映画からの吸収量は読書よりすくなくなります。けれども一つ一つの表現が印象的に迫ってきますから、定着率は本よりいいかもしれません。話せるようになるためには、ペーパーブックを読むより効率的な吸収法だと思います。
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