ドキュメント |
![]() |
| ▲ [ オピニオン|テクニカル ] [ Home ] |
|
オトキン 校歌斉唱 B (後編) |
|
はい、小岡公平のミュージックライフ、CM 明けも残念ながらまだまだ続きます。
さて、CM M明け一曲目、これは札幌の高校ですね。やはり製作にあたって、札幌へは取材に行かれたわけですか。
「もちろん。実は前から行きたかったんですよ札幌。というのは、私が高校生の時に、修学旅行で北海道に行くことになってたのに急遽参加できなくなったということがありまして」
そりゃまたどうしてですか。
「実は、前の晩に友人と酒飲んで盛り上がり過ぎちゃって。トリスを飲んでサッポロ行こう ! なんつって。昔の CM にありましたな。ハハハ」
トリスはハワイでしょう。
「で、当日はひどい二日酔い。駅に集合したところで先生にもバレちゃって。もう修学旅行どころじゃない、自宅謹慎ですよ」
修学旅行先で飲酒が見つかって怒られる生徒の話はよく聞きますけどね。
「出発前にってとこが斬新でしょう。ま、当時から時代の半歩先を行ってたわけですな」
単に間抜けなだけでしょう。えー、それでこの時、実際に札幌行ってみてどうでした。ご自分の高校時代を思い出しましたか。
「そりゃやっぱり思い出しましたよ。とりあえずこう、ビール園でカーッと飲んでね。夜はススキノ」
まあ、先生の場合、高校時代に行ってたとしても同じことしてたんでしょうねきっと。
えーさて、この作品、音楽的な側面から見てみましょうか。1980 年代初めに作られたものだそうですが。
「当時、歌謡曲の世界では、松任谷由実さんなんかに代表されるいわゆるニューミュージックというのが流行ってました。悲しいーときーにー開くー革のー表紙」
ありましたありました。それまでのフォークソングとは一線を画した、当時は非常にしゃれた音楽でしたよね。
「人ごみーに流されてー変わってえーゆくー私もあのサウンドに心を惹かれてましてね。この作品もその影響を受けて、ポップでオシャレなミディアムバラードに仕上がりました。また、シンセサイザーを導入することで青春の甘酸っぱさを表現したり」
はぁ…そのころ、シンセサイザーってのは随分高価なものだったんじゃないんですか。
「だったと思いますよ。まあカネは学校に出させましたからよく知りませんが。今でも大事に使ってますよ、ウチで」
ウチでって先生、それ要するにタカリ……あ、いや、曲行きましょうか、もうね。
「自分の高校時代を思い出して作った、歌謡曲史上に残る名曲です」
歌謡曲じゃねえだろ !

あのー……。
「なんですか ?」
ひとつ、どうしても気になることがあるんですけど……。
「なんでしょう ?」
行田南高校って…なんですか ?
「行田って知りませんか」
いや行田は知ってますよ。行田市、埼玉じゃないですか !
「あ、知ってますか。さきたま古墳群で有名ですね。埼玉県という県名も元々はここにルーツがあるんですよ」
そんなことどうだっていいんです。なんでここでいきなり行田が。
「行田ってのは私の出身地なんですよ。行田南高ってのは私の母校」
いやだってねコレ札幌でしょう ? 札幌の学校の校歌でしょう ? 行田いっこも関係ないじゃないですか !
「だって、札幌発寒なんてそんな学校知らないもん。札幌と言えばやっぱりススキノにビール園」
だからって行田が出てくることないでしょう !
「いやいや、実を言うとね。このー、放課後の図書館で彼女と勉強っていうシチュエーションは、私自身が高校時代実際に体験したことでね。思い出なんですよ。ユミちゃんつってかわいい娘でした」
エミちゃん。
「いやユミちゃん。ですからここで、そのー札幌なんとか高校とか言うとウソになっちゃう。これはあくまで、行田南高校での思い出ですからね。未来ある若者にウソはいかんでしょうウソは」
北海道で行田行田言う方がよっぽどウソじゃないすか !
「だからほら、地方色も出してるでしょう。雪祭りとか。その辺はアーティストとしてギリギリの妥協をはかったわけ」
ぜんっぜんギリギリじゃねえよ ! 遠すぎだっつの !
………。
「えー、次の曲ですが」
……はあ。
「常に新しいことに挑戦する、ジャズミュージシャンとしての姿勢を失わない、この私ならではの作品で」
……はあ。
「本来、ジャズっていうのはいつだって時代の動きを見据えてヒップでクールに、あのちょっと、コレ逆でしょうが。あんたが聞いてくれなきゃ」
はいはい、どこのガッコすか次は。
「次はねえ、東京・渋谷の学校です。渋谷といえば若者の街、今渋谷の若者の間でいちばん流行ってる音楽って何だか知ってますか」
…や、分かんねっす。ぶっちゃけあんまキョーミないし。
「何で渋谷の若者みたいな口調になってんの。今 ! 渋谷といえば ! ヒップホップそしてラップですよ !」
あそうすか。
「ちょっと、鼻毛抜きながら答えんのやめてくれる。ラップって分かりますか、ヒップホップカルチャーには欠かせない」
あれでしょ、歌詞をリズムに乗せて…。
「そうそう。ま、歌詞だか演説だかよく分かんないのをしゃべくり倒す、あれですよ。ちょっとやってみましょうか。
どん、たん。どどっどんたん。どん、たん。どどっとんた、あソレ !
鳴くよウグイス平安京。
ヒトヨヒトヨにヒトミゴロあヨイショ。
春はあけぼのボブサップ YO ! YO !
白くなりゆく生えぎわ Funky !
銀座じゅわいよくちゅーるマキ !
強いはきよいカッコ良い 力王たび !」
はいはいありがとうございます、よく分かりました。
「ホントに分かってんの ? っていうか聞いてた ? 最後の強いはきよいカッコ良いっていう部分はね」
知ってますよ。要するに『韻を踏む』ってやつでしょ。ラップではお約束の手法ですね。
「その通り ! 似た語感を持つコトバを並べてビート感を強調するという。『ヨイ』という音にアクセントを置いて歌ってみて下さい」
つヨイはきヨイかこヨイ。
「ほら、畳みかけるようなビートを表現できますね。コレ実は、江戸時代の地口、いや古代の和歌にも見られる伝統的な」
……あのー、まあ今さら何が出てきたって驚きませんけど、もしかして次の曲は…。
「そうです。渋谷の学校ですからね、ラップで作ってみました。校歌」
やっぱそうきましたか…。あのー私今日ずっと疑問に思ってたんですけど、学校からは文句言われないんですかこういうの。
「いや、校長もノリノリでね」
ノリノリはまずいでしょ、校長として。
「私がポテトサラダが好きだってポロっと言ったんですよ、校長に」
はあ。
「そしたら山ほどジャガイモ送ってきてね」
ほう。
「こんなにイモ食って、カッコ悪いイモな曲が出来ちゃったら困るなあ、なんて」
今どきカッコ悪いことをイモとか言うの、ジャズミュージシャンくらいですよ。
「韻を踏むとかのお約束はもちろん、ヒップホップカルチャーの根底にある、社会への反抗精神、同時代の空気への視線を盛り込んで」
ま、何だっていいですけど、もう最後の曲ですし……。っていうか聴かなきゃいけませんかやっぱり。
「ぜひ聴いてください ! では行ってみましょう、本日最後の曲、さ、ご一緒に、小岡公平の、ミュージック、ライフ〜ッ !」
…ライフー。

…………。
「……あなたの言いたいことは分かりますよ」
……そうですか…… ?
「この曲初めて聴くと、だいたいみんな今のあなたのような顔しますからね」
……はぁ…そうですか…。
「確かにフジテレビの所在地は今、お台場です。でも、昔、お台場に引っ越す前は、東京都牛込局区内っていうのが住所だったんです」
いや、誰もそんなこと気にしてないですよ !
「昔は、地方の子どもたちが最初に覚える東京の地名っていうのは、ひらけ ! ポンキッキで毎朝聞かされるこの住所と、600 こちら情報部の東京都渋谷区神南 NHK、ってやつだったのね。あと渋谷駅前のモヤイ像ってのはもともと新島にルーツが」
あー分かった分かった。もういいから。終わりだから。「わたしのミュージックライフ」今週はこの辺で。
「それから一時問題になった学校校舎への吹きつけアスベスト使用ですが、最近では除去作業も随分進んで」
ちょっと黙ってろ ! えー、番組ではみなさんのご意見ご感想のおたよりをお待ちしております。宛先は…。
「おたよりを頂いた方の中から抽選で小岡公平音楽大全集の CD-R をお贈りいたします」
いらねーよそんなもん !
「番組の終わりに発表される本日のキーワードをハガキに書いて送ってくださいね」
もう終わりだっつの !
|
Copyright (C) 2004-2006 杉澤 Comment to Webmaster Last Modified 2005.11.8 Since 2004.6.17 |